子どもの気管支喘息
気管支は、口や鼻から肺に繋がる空気の通路で、気管の先から左右に分岐しています。気管支が何らかのきっかけで狭窄し、空気が通りづらくなる喘鳴をきたすのが喘息発作です。おおむね2歳以上の子どもで喘息発作を繰り返す疾患を小児気管支喘息と言います。気管支喘息では気管支の壁で炎症が起こっています。
気管支喘息の特徴的な症状
小発作
- 喘鳴(ゼイゼイ・ヒューヒューといった呼吸)が起こる
- 就寝中や明け方に発作が起こりやすい
日常生活には影響があまりない状態ですが、放置しておくと中発作に繋がる危険性があります。
中発作
- 呼吸が苦しく、寝ることができない
- 会話に若干支障が出る
- 発作によって目覚めてしまう
外来で治療できることもありますが、入院治療が必要になることもあります。
大発作
下記の状態は、すぐに救急受診してください。
- 動けない
- 会話ができない
- 呼吸困難
- チアノーゼ
- 意識がもうろうとしている
小発作・中発作は、血中酸素飽和度などを計測し、患者様の病状なども踏まえて診断します。
喘息が悪化する要因
子どもの気管支喘息は、90%程度はアレルギーが原因となります。なかでも、ダニに対するアレルギー反応によって起こることが多いです。
喘息発作を誘発する要因を知り、発作が起こるきっかけを把握しておけば、原因を除去するなど適切な対策が可能となります。以下が喘息を悪化させる要因です。
- アレルゲン(ペット、花粉)
- タバコ
- 大気汚染
- 感染症
- 気候の変化(梅雨、台風、寒暖差)
- 運動
- 疲労、睡眠不足、ストレス
気管支喘息の治療方法
気管支喘息には『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン』があり、当院ではこのガイドラインに則って治療を実施します。。治療は、発作を予防するものと、発作が起こった際に症状を抑制するものに分けられます。気管支喘息では発作を「0」にするのが治療の目標となります。
喘鳴の発作を抑制する治療
吸入薬や内服薬で狭窄している気管支を広げる治療を行います。場合によっては酸素投与やステロイドの点滴が必要になることもありので、喘鳴がある時まずは当院にご相談ください。
発作を予防するための治療
気管支の壁の炎症をコントロールし、上記で挙げた因子が生じても、気管支の狭窄が起きにくい状態にします。ロイコトリエンの内服やステロイド吸入薬を使用しますが、実際に使用する薬剤は治療ガイドラインに則って決定します。
ステロイド吸入薬
アレルギーによって起こる炎症を抑制する効果があります。その効果は高く、種類も様々で、年齢に応じて綿密な処方を行えます。ステロイドではありますが、内服薬や点滴とは異なり、医師の指示に従って使用することで、副作用のリスクは非常に低いです。
治療の経過について
病状を管理でき発作が落ち着いたとしても、気管支に起きた炎症が完治するまでは時間を要します。治療を継続し、3ヶ月~6ヶ月程度発作が起こらなければ減薬して経過をチェックします。治療期間は症状や年齢などに応じて決定するので、治療期間中は治療をしっかり続けましょう。
子どもの気管支喘息は
完治するのか
小児喘息は、医師の指示に従って治療を続けていれば、治りが遅い場合でも中学生に上がる頃には完治することがほとんどです。そのうちの多数がアレルギー性鼻炎へ移行します。
気管支喘息は大きな発作が起きると致命的なこともあります。保護者の自己判断で症状が落ち着いている時に休薬したり、減薬したりするのはやめましょう。気管支喘息の治療は数年続くことが多く、内服や吸入が毎日必要になるので根気が必要ですが、気管支炎喘息完治につながるように頑張りましょう。